手軽にWebサイトを公開したいという人にとって、CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)は大変便利なツールです。CMSには製品版とオープンソースのもの、操作性や機能の違いなどによって数多くの種類が存在します。
その中からもっとも用途に適したもの、あるいは操作性が好みのものを選択すればよいのですが、たくさんの種類があると逆に「どれを選択したらよいのか」と迷ってしまうことになるかもしれません。
そこで、国内においてもっともポピュラーなCMSの1つで、企業サイトでの使用実績と日本語の情報も豊富な「XOOPS」を例にインストール手順を紹介します。XOOPSには「本家」と呼ばれるXOOPSと、その派生でありマルチバイト環境に対応したXOOPS Cubeがあります。今回はXOOPS Cubeのインストール方法を取り上げます(以下ではXOOPS Cubeを単にXOOPSと記します)。
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1-1. インストール環境の確認
XOOPSは、Webベースのアプリケーションであることから、Webサーバーが必要となります。また、PHP 4.3.2以降(4.3.11以降を推奨)、MySQL 3.23.x以降(4.1以降を推奨)が必要となります。
今回も「前回」までの環境(カスタムサーバー申し込み時にPHP、MySQLのインストールを選択)を用いて解説します。まずは、これらの環境が整っているか確認しましょう。
$ ssh -l admin vps-tokusyu.com
admin@vps-tokusyu.com's password:
Last login: Fri Aug 31 20:29:14 2007 from 221x249x20x138.ap221.ftth.ucom.ne.jp
$ yum list installed httpd php mysql-server
Loading "fastestmirror" plugin
Installed Packages
httpd.i386 2.0.52-32.3.ent.centos installed
mysql-server.i386 4.1.20-2.RHEL4.1 installed
php.i386 4.3.9-3.22.5 installed
以上でXOOPSに必要とされるツールはインストールされていることが確認できます。
1-2. データベースの作成
次に、XOOPS用のデータベースを作成することにします。ここでは、データベース名を「xoops」とします。
$ ssh -l admin vps-tokusyu.com
admin@vps-tokusyu.com's password:
Last login: Sat Sep 15 18:12:57 2007 from 125x103x245x240.ap125.ftth.ucom.ne.jp
$ mysqladmin create xoops -u root -p ←データベース「xoops」を作成
Enter password: ←MySQLのrootパスワードを入力
$
次にデータベースが作成されていることを確認します。
$ mysql -u root -p ←ユーザ「root」にスイッチ
Enter password: ←MySQLのrootパスワードを入力
Welcome to the MySQL monitor. Commands end with ; or g.
Your MySQL connection id is 11418 to server version: 4.1.20
Type 'help;' or 'h' for help. Type 'c' to clear the buffer.
mysql> show databases; ←MySQLのデータベースを表示
+----------+
| Database |
+----------+
| MT |
| mysql |
| openpne |
| test |
| xoops | ←データベース「xoops」ができている
+----------+
5 rows in set (0.00 sec)
mysql> exit
Bye
$
2-1. プログラムファイルのダウンロードとアップロード
次にXOOPSのプログラムファイルをダウンロードします。最新版は「XOOPS Cubeダウンロード」ページから行います。ここでは、原稿執筆時点(2007年9月15日現在)の最新版コアパッケージである「XOOPS Cube Legacy 2.1.1」をダウンロードすることにします。
XOOPS Cube Legacy 2.1.1のzip形式を選択(画像をクリックすると拡大表示します)
Package_Legacy_2_1_1.zipを選択(画像をクリックすると拡大表示します)
ダウンロードページで名前とメールアドレスを入力することで、入力したメールアドレス宛にダウンロードページにアクセスするための認証ページURL、および認証キーとなる文字列が送られてくきます。そのURLにアクセスし、認証キーを入力することで、プログラムファイルのダウンロードを行います。
「前回」、FTPサーバーを起動しているので、今回もFTPによりVPSにアップロードします。
2-2. プログラムファイルの展開と配置
それではVPSにsshログインし、アップロードしたプログラムアーカイブを展開します。
$ unzip Package_Legacy_2_1_1.zip
Archive: Package_Legacy_2_1_1.zip
inflating: Package_Legacy/.project
creating: Package_Legacy/docs/
inflating: Package_Legacy/docs/CHANGES.txt
inflating: Package_Legacy/docs/COPYING.txt
inflating: Package_Legacy/docs/GPL_V2.ko.euckr.txt
inflating: Package_Legacy/docs/GPL_V2.ko.utf8.txt
inflating: Package_Legacy/docs/GPL_V2.txt
creating: Package_Legacy/docs/images/
inflating: Package_Legacy/docs/images/install001.gif
inflating: Package_Legacy/docs/images/install002.gif
extracting: Package_Legacy/docs/images/install003.gif
inflating: Package_Legacy/docs/images/install004.gif
inflating: Package_Legacy/docs/images/install005.gif
(省略)
展開されたファイルは「Package_Legacy」というサブディレクトリに格納されています。このサブディレクトリ内に含まれる「html」以下のファイルをWebサーバーのドキュメントルート以下に移動します。ここでは「xoops」というサブディレクトリを作成し、その下に配置することにします。
$ su ←管理者にスイッチ
Password: ←管理者のパスワードを入力
# mkdir /var/www/html/xoops ←ドキュメントルート以下にサブディレクトリ「xoops」を作成
# mv Package_Legacy/html⁄* /var/www/html/xoops/ ←「Package_Legacy/html」以下のすべてのファイルを「/var/www/html/xoops/」以下に移動
以上で、プログラムファイルの展開と配置は完了です。ここまでの操作が正常に終了していれば、XOOPSのインストールが行えます。
3-1. インストールの手順
XOOPSのインストールは、2つのステップで行います。第1ステップでは「基本的なシステムの構築」、第2ステップでは「必須モジュールの導入」です。
これらはWebブラウザの操作により一連の処理として実行することができるようになっています。
3-2. 第1ステップ「基本的なシステムの構築」
それは「http://www.vps-tokusyu.com/xoops/install/index.php」にアクセスしてください。インストーラが表示されるので「次へ」ボタンをクリックしましょう。
なおXOOPS Cubeはマルチバイトに対応しており、日本語にも対応していますが、Webブラウザの設定によっては文字化けすることがあります。この場合、テキストエンコードを「日本語EUC-JP」としてください。
インストールウィザード(画像をクリックすると拡大表示します)
次にXOOPS Cubeの紹介、必要とする環境、事前の準備についてのメッセージなどが表示されます。内容を確認し、「次へ」ボタンをクリックします。次にパーミッションのチェックが行われ、XOOPSの動作に問題がある場合は必要な操作が表示されます。
ファイルのアクセス権チェック(画像をクリックすると拡大表示します)
表示された指摘にしたがってパーミッションを下記のように変更します。
# chmod 777 /var/www/html/xoops/uploads/
# chmod 777 /var/www/html/xoops/cache/
# chmod 777 /var/www/html/xoops/templates_c/
# chmod 666 /var/www/html/xoops/mainfile.php
パーミッションを変更したら「再読込」ボタンをクリックしましょう。再びパーミッションのチェックが行われ、結果が表示されます。問題がなければ「次へ」ボタンをクリックしてください。
次に動作環境の設定ページが表示されます。ここで最低限の設定が必要なのは、「データベースユーザ名」「データベースパスワード」「データベース名」の3つです。それぞれを入力して「次へ」ボタンをクリックします。
データベース、およびパス・URLの設定(画像をクリックすると拡大表示します)
すると設定値が表示されます。内容に誤りがないことを確認して「次へ」ボタンをクリックしましょう。「mainfile.php」に書き込まれた設定が表示されますので、内容を確認して「次へ」ボタンをクリックしてください。
設定の保存画面(画像をクリックすると拡大表示します)
パスおよびURLのチェックが行われ結果が表示されます。内容に誤りのないことを確認して「次へ」ボタンをクリックしましょう。なお「戻る」ボタンをクリックすると、改めて設定をしなおすことができます。
次に、データベース設定のチェックが行われ、結果が表示されます。内容に誤りのないことを確認して「次へ」ボタンをクリックしましょう。ここでも「戻る」ボタンをクリックすると、改めて設定をしなおすことが可能です。
データベースへの接続テストが行われて、結果が表示されます。内容に誤りのないことを確認して「次へ」ボタンをクリックしましょう。するとデータベーステーブルが作成され、そのログが表示されます。エラーメッセージが含まれていないことを確認し、「次へ」ボタンをクリックしてください。
その後、サイト管理者の設定を行います。各項目を入力し「次へ」ボタンをクリックしましょう。
管理者についての設定(画像をクリックすると拡大表示します)
データの生成が行われ、そのログが表示されます。エラーメッセージが含まれていないことを確認し、「次へ」ボタンをクリックしてください。すると第1ステップが終了したこと、および第2ステップの必要性について表示されます。
インストール第1ステップ完了(画像をクリックすると拡大表示します)
「次へ」ボタンをクリックして、第2ステップに移りましょう。
3-3. 第2ステップ「必須モジュールの導入」
ログインページが表示されますので、管理者のユーザ名およびパスワードを入力して「ログイン」ボタンをクリックしましょう。
ログイン画面(画像をクリックすると拡大表示します)
モジュールのチェックが行われ、そのログが表示されます。「インストール」ボタンをクリックしましょう。
モジュールのチェック(画像をクリックすると拡大表示します)
以上でインストールが完了し、以下のようなメッセージが表示されます。
インストール完了(画像をクリックすると拡大表示します)
なお、メッセージに注意事項が表示されるので、指摘された該当のディレクトリを削除します。
# rm -rf /var/www/html/xoops/install/ ←ディレクトリ「/var/www/html/xoops/install/」を削除
Webブラウザの「更新」ボタンをクリックすると、XOOPSの初期ページが表示されます。
XOOPSの初期ページ(画像をクリックすると拡大表示します)
このようにインストール操作はとても簡単です。
XOOPSは数多くのモジュールが用意されており、非常に柔軟なカスタマイズが可能となっています。社内での情報共有といった目的で使用するのであれば、見栄えに凝る必要はないでしょうが、公開情報サイトで使用するのであれば、デザインや機能を追加していくことも可能です。
「XOOPS Cube日本サイト」には様々な情報がありますので、参考にしてみてください。
これまで紹介したSNSやblog以外にもVPSの活用方法として、CMSも考慮してみるのはいかがでしょうか?
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提供:株式会社 アット・ワイエムシー
企画:シンクイット営業部
制作:シンクイット編集部・シンクイット制作部
掲載内容有効期限:2007年10月31日
当記事は、右記サイトに掲載された時点の最新情報に基づき執筆されています。古い情報が含まれている可能性がありますので、ご了承ください(2012年12月時点)。