近年、ホスティングサービスを活用した開発環境に注目が集まっています。それは、極めて安価なコスト負担でありながらも、社内リソースと切り離して開発が行えるからです。
開発環境が社内リソースと切り離されていることは重要で、例えばテスト段階でトラブルが発生しても、社内インフラの回線やシステムに影響をおよぼすことがなくなるからです。また、開発中の期間は認証で保護しておき、開発終了後は認証をはずして、即時に本番環境に移行するといったこともできます。
しかしVPSという特別な環境のため、大きな制約があったり、使い勝手が悪かったりするのでは意味がありません。そこで、実際に@YMCのVPS(カスタムサーバー)を使って、開発環境を構築して検証します。
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準備
冒頭にも述べたように、@YMCのVPS(カスタムサーバー)を使って開発環境を構築していきます。マネージドサーバーと同様にオンラインから契約でき、1日程度でアカウント情報が記載された書類「開始通知書」をダウンロードできるようになります。また、@YMCのVPSには15日間無料トライアルもあるので、是非とも一緒に試してみてください。
図:カスタムサーバーの開始通知書(画像をクリックすると拡大表示します)
SSHでログイン
まずは、何をするにもサーバにログインしないことにははじまりません。開発環境として使用する場合の多くはroot権限での操作を必要としますが、SSHをrootで直接ログインすることはできません。開始通知書にはadminというアカウントについても記載されているので、まずはadminでログインしてからrootにスイッチします。初期状態ではこの2つのアカウントしか用意されていませんので、必要に応じてアカウントを作成していくとよいでしょう。
$ ssh -l admin vps-tokusyu.com
admin@vps-tokusyu.com's password:
Last login: Mon May 21 15:17:25 2007 from 61.202.203.100
$ su -
Password:
コード:SSHでログイン
環境の確認
ログインできたら、次にシステムのプロファイルを収集しましょう。割り当てられているIPアドレスやディスク・メモリの容量は「サービス開始通知書」に記述されているので、カーネルのバージョンやOS(ディストリビューション)が何であるかを調べる程度で十分でしょう。
カーネルのバージョンは「2.6.13」、Xenのバージョンは「3.0.2.3_4」、そしてディストリビューションはCentOSが使われていることがわかります。
# uname -sr
Linux 2.6.16.13-xenU_3.0.2.3_4.centos4.5
コード:カーネルのバージョン、ディストリビューションを調べる
パッケージの確認
申し込み時にインストールされているパッケージを選択できますが、ここでは実際にインストールされているかを確かめます。なお、インストールされているかだけではなく、バージョンや実行ファイルのディレクトリ、設定ファイルの内容は開発に影響するので、事前に確認すべきでしょう。
Apache(httpd)、MySQL、PHPがインストールされていてPostgreSQLがされていないことが確認できます。ここではyumコマンドを使いましたが、rpmコマンドでも確認することができます。
# yum list installed httpd mysql php postgresql
Loading "fastestmirror" plugin
Installed Packages
httpd.i386 2.0.52-28.ent.centos4 installed
mysql.i386 4.1.20-1.RHEL4.1 installed
php.i386
コード:Apache、MySQL、PHPのインストールを確認
PostgreSQLをインストールする
PostgreSQLがインストールされていないので、これをインストールしてみます。yumコマンドを使えば容易にインストールすることができます。なお、先にも述べたように申し込み時にインストールの状態を指定できます。またその際に、バージョンを「7.4.16」「8.1.9」「8.2.4」のうちから指定することができます(2007年6月現在)。
# yum install postgresql
(中略)
Installed: postgresql.i386 0:7.4.17-1.RHEL4.1
Complete!
#
# yum list installed postgresql
Loading "fastestmirror" plugin
Installed Packages
postgresql.i386 7.4.17-1.RHEL4.1 installed
コマンド:PostgreSQLをインストール
gccをインストールする
上記のようにyumコマンドやrpmコマンドを使ったインストールではなく、ソースコードからインストールしたいこともあるでしょう。その際にはgccが必要となりますので、これをインストールします。
通常通りにyumコマンドでインストールすると、既にインストールされているglibcとコンフリクトを起こすことがあります(バージョンによって異なる)。このような際な問題は、サポートページに解決策が記載されているので、参考にしつつインストールします。
また、Apacheは1.3系を使用したいや、PHPは5系を使用したいという場合でも、yumコマンドやrpmコマンドを使用して容易にパッケージを入れ替えることができますし、makeやgccがインストールされているのでソースコードを基にオプションを指定してコンパイルし、インストールすることも可能です。
# yum --enablerepo=ymc_xen install gcc
Loading "fastestmirror" plugin
Setting up Install Process
Setting up repositories
(中略)
Installed: gcc.i386 0:3.4.6-8
Dependency Installed: cpp.i386 0:3.4.6-8 glibc-devel.i386
2:2.3.4-2.25xen.YMCcentos.1 glibc-headers.i386
2:2.3.4-2.25xen.YMCcentos.1
glibc-kernheaders.i386 0:2.4-9.1.100.EL
Complete!
# yum list installed gcc
Loading "fastestmirror" plugin
Installed Packages
gcc.i386 3.4.6-8 installed
コード:オプションを有効にして、gccをインストール
使えるインストールガイド
これまでのところ、LAMPやLAPPとよばれる標準的な環境を整えてきました。続いて、最近注目されているRuby on RailsやTracについてもチェックします。
カスタムサーバーでは何をするのかは、ユーザ自身にゆだねられて、RubyやTrac以外にも自由にインストールすることができます。よく使われるようなアプリケーションについては、@YMCがインストールガイドを用意しているので参考にするとよいでしょう。
- Ruby on Rails
- Trac
- Zope/Plone
- webmin
- MySQL
- PostgreSQL
- phpMyAdmin
- phpPgAdmin
表:記載されているインストールガイド
Ruby on Railsをインストール
Ruby on Railsを使用するにあたっては、インストールや設定に多少手間を要しますが、@YMCではインストールについて詳細な情報(Ruby on Railsのインストールについて)を提供しており、参考にすることで無用なトラブルを避けインストールすることが可能です。
また、動作確認のため、なんらかのアプリケーションプログラムを作成してテストしたいということがあると思います。すでに開発済みのプログラムがあれば、それでテストできますが、@YMCでは、ToDoリストの作成を例にサンプルプログラムの作成方法(Ruby on Rails のサンプルアプリケーション)も公開しています。この手順を追いかけることで、Apacheとの連携を含めてテストを行うことができます。
またRubyは、サービス申し込み時に指定することで、「1.8.1」「1.8.5」「インストールなし」から選択することができます。あらかじめインストールされているようであれば、インストールに要する工数を削減することができるので、サービス申し込みの際に、バージョンの指定を行ったほうがよいでしょう。
図:Ruby On Railsのサンプルプログラム(画像をクリックすると拡大表示します)
Tracをインストール
さて、情報共有を行う手段として最近注目を集めているTracによるシステム開発を行いたいということもあるでしょう。これについても、インストールからTracプロジェクトの作成、そしてカスタマイズの基本までがきれいにインストールガイドにまとめられています。この情報を基に操作することで、スムーズに導入ができるでしょう。
図:Tracでサンプルページ(画像をクリックすると拡大表示します)
社内の環境を気にせずに開発環境を構築したい、異なる用途の環境をいくつも作りたい、開発完了したら直ぐにサービスインさせたいなどの要望にVPSは答えてくれます。
今まで説明したきたように@YMCのVPSは高い自由性を確保しており、専用サーバと同じ感覚で使うことができます。この秘密はXenにあるのでしょう。gccのインストールの際に説明したように、yumなどを使う際にエラーが起こる点については、既に回答が用意されており、「サポートページがある」ということを知っていれば、容易に対処できます。
また、パフォーマンスが気になる方も多いでしょう。しかし、実際に様々な操作をしてみたところ、パフォーマンスについて不満を感じることはありませんでした。「開発環境」という目的で使用するうえでは、開発対象により非常に負荷が大きくなるものもあるかもしれませんが、一般的なWebアプリケーションの開発で、パフォーマンスに不満を感じることはないでしょう。
さらに@YMCのVPSでは、パフォーマンスに影響の大きいメモリに関しても160MB → 256MB → 512MBといったスペックアップがサーバを移行せずに行えますので、はじめは下位プランで開始したとしても、後々のスペックアップが簡単に行える点は心強いです。
まずは15日間無料トライアルで、実際に使って試して、何ができるのかを自身でやってみてはいかがだろうか。
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提供:株式会社 アット・ワイエムシー
企画:シンクイット 企画営業部
制作:シンクイット 編集局・制作進行部
掲載内容有効期限:2007年7月21日
当記事は、右記サイトに掲載された時点の最新情報に基づき執筆されています。古い情報が含まれている可能性がありますので、ご了承ください(2012年12月時点)。