


一般的に「Xen」の導入目的には、何台もあるサーバを統合したい、いわばコンソリデーションを行い、ハードウェアのコスト削減/業務の一元管理を実現したいというのがあります。この背景には、情報化とともに法整備が進み、これらに対応するためには今まで使われてない新しい技術を必要としていたのです。また、「Xen」はオープンソースであり、今の時代に最も適したソリューションなのです。
しかし、「Xen」の使いどころは本当にコンソリデーションだけなのでしょうか。そうではありません。企業向けホスティングサービスを展開する@YMCでは、「Xen」を使って新しいサービスを展開しています。何故「Xen」を選択し、どのように活用したのでしょうか。
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アット・ワイエムシー社の岩間氏は同社が仮想化技術を導入した経緯についてこのように語っています。

株式会社アット・ワイエムシー
取締役技術支援部長
岩間 和彦氏 「以前のネットワークでは共用サーバと専用サーバを設けてサービス提供を行っていました。当時はセキュリティに対してあまり注目されていませんでしたが、インターネットが普及するにつれてセキュリティ意識も高まりSSLの導入を行いました」
SSLを採用したことで通信のセキュリティは確保できましたが、サーバが共用型のためにほかのユーザとの独立性は低く、潜在的な問題を抱えた状態だったといいます。この問題に対処するために、@YMCは2003年6月にjail系のVPSを使った仮想化の導入を行いました。
岩間氏も語っているように、これは専用サーバの代替というよりはSSLを安全に利用してもらうことを目的としたもので、root権限は開放しない状態なのです。あくまでもほかのユーザとの独立性を保った共用サーバを目指したのです。



特にあるユーザが負荷の高い処理をしている場合、同じサーバを利用しているユーザの動作が不安定になってしまうとのことです。設定で回避できる部分もあったものの、最終的に運用管理のコストの増加につながったため、仮想化技術の切り替えが検討され「Xen」が採用されることになりました。
岩間氏はXenを選択したことについて次のように述べています。
「Xenは各仮想マシンに対してリソースを割り振るため、jail系のような柔軟な設定は行えず集約率は低くなってしまいました。しかしほかの仮想マシンとの独立性が高く、ほかのユーザの影響を受けにいというメリットがあります。もともと自社でオープンソースをベースとしたサービス開発を行ってきたことと、運用・管理コストの低減も期待できることからjail系からXenへの切り替えを行うことを決定しました」
「Xen」の導入によって、従来のjail系では対応できなかったDisk QuotaなどOS寄りの機能設定が可能になり、専用サーバに近い環境を提供できるようになったともいいます。

パフォーマンスに影響があったのかと伺うと、岩間氏は次のように語っています。「Xen」の導入にあわせてサーバースペックも同時に変更されたため、単純な比較できないものの、高負荷のユーザがいた場合でもほかのユーザへの影響は少なくなり従来のサービスよりも明らかな改善があったようです。
「Xenはjail系のようにメモリの動的配分を行わないため、1ユーザの一時的な過負荷に対してはメモリ不足に陥ることもあります。しかしほかのユーザへの影響が少なく、該当ユーザのみの問題として対応可能です。提供されているメモリの範囲内で利用する限りにおいてはほかのユーザの影響を受けず、一定水準のパフォーマンスを得られるというメリットは非常に大きいと考えています。
実際にサービスを開始して10ヶ月が経過していますが、高負荷のユーザの影響による他のユーザのレスポンス低下や障害は発生していません。運用管理に使われていた時間を新規サービスや品質改善に利用できるため、ユーザはもちろん運用スタッフにとっても満足のいく内容になっていると考えています。」




この点について岩間氏は次のように語っています。

@YMCではこのほかにも、サブドメインによってアプリケーションごとに個別の仮想サーバを運用することも考えています。セキュリティホールや過負荷時でもサービス全体に影響せず、安定した運用が行えるとのことです。その上、このような場合でも高スペックなハードウェアを必要とせず、運用コストの削減につなげています。
低価格化の進む専用サーバサービスに対して、@YMCでは「Xen」を武器として、セキュリティ、ハードウェアリソース、運用方法までを含めた提案を行い、競争力を持つVPSサービスを提供していく心がみえます。

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提供:株式会社 アット・ワイエムシー
企画:シンクイット 企画営業部
制作:シンクイット 編集局・制作進行部
掲載内容有効期限:2007年3月9日